2016年08月25日
「今日より よい明日はない」
福岡 天神1丁目の福神街横丁に「マルヒラ」ありしも 再開発着手・・・・
エッセイスト 小林 克彦
「♪おもいでー・・・なつかしー♪あのテーネーシ ワルツ・・・
今宵も ながーれてくーるー♪・・・
♪わかれーた・・・あのーひとー いまーいずこー
よーべど かえーらない・・・♪
去りにしーゆめー あのテネシーワールツ♪
なつかーしい あいーのうたー♪
面影ー しのんでー♪ 今宵もーうたう うーるわし テーネーシーワルツ♪」
江利チエミの日本語歌詞の方が、この名曲にはしっくりとなじむ。
そう思いながら、下手な弾き語りをすると・・・。
「アラー!なつかしかー、いつきいてもヨカ曲やねー。わたしの葬送曲にしたいわ!」と、
ママがつぶやいた。
先ほどまで、カウンターの奥で常連客になにやら真剣な話をしていた。目には涙が光っている。
店を閉める1年ほど前のことで、経営がきびしいことを相談していたのか。
その紳士から第三の男をリクエストされたが、アントン・カラスが弾くチター以外の楽器ではできない。
そうことわると、このオーソン・ウェルズ氏は、ゆっくりとうなづいてニッカウィスキーブラックの
グラスを干した。
ここは天神1丁目、ビルの谷間の横丁にある角打ち酒場マルヒラ。天神横丁文化倶楽部の
詰所でもある。
木の階段を上がった2階が店のコノ字カウンター、常連たちが、いつもの定位置に
陣取って駄法螺を吹いている。
「一千万を株式に突っ込んでいるが、うまいこといかんバイ」と、退職公務員っぽい常連爺さん。
「この前は五百万と言ってあったが?」と、別の紳士。
「あれは福証銘柄で運用しよう、これは東証一部にしよる!」と、
「次はニューヨーク市場ですか?オオゴトですなー!ウァハハハ」と、吹きまくっている。
想い出いっぱいの
新庄英俊氏出版本とマサカ!のメモ帳
ある夜、裕次郎の「北の旅人」をやっていると、となりの新庄さんから声がかかった。
「俺は、旭のほうが好きやった。何かできん?」
元プロ野球のスター選手の親父さんで、ここの常連飲み仲間であった。
「ギターを持った渡り鳥は?」
「ヨカねー俺が歌うバイ、♪あかいー夕日よー もーえーおちて・・・」と、うれしそうに歌われる顔が
忘れられない。
「よいお年をお迎えください!」と、帰りぎわに言うこの決め台詞が、みんなに受けていた。
70歳をすぎたばかりの若さで川を渡られた。 つつく
筆者プロフィール 小林 克彦
・キャリアコンサルタント&セミナー講師
・ギターリスト&エッセイスト
・東急エージェンシーOB会会員
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